グロウへのプロローグ

探し続けて24年。
ようやく行き着いた場所

社会人になり、デザイナーとして24年が経とうとしています。デザインが好きだからこそ、ひたすらこの仕事を続けて来れました。自分がデザインしたものをクライアントが心底喜んでくれた時こそ、この仕事に誇りを感じる瞬間でもあります。
これまで、20数名規模のデザインプロダクションに始まり、友人と2人でのフリーランス、1000名規模の印刷会社、100名規模の企画制作会社、10名規模の制作会社と数社を渡り歩き、常に自分に合った環境を探し求めてきました。もちろん、会社にいる時は、それなりのポジションを任されていましたし、成果も上げてきたと思っています。決して会社に対し反旗を翻していた訳ではありません。ただ、自分が本当に求めている環境とは何か違うなという違和感は常に抱いていました。しかしながら、その違和感を回避する最良の方法はなかなか導き出せなかったのも事実です。
「自分に合ったやり方って?」
「自分が本当に求めてる環境って?」
結果、最終的に行き着いたのが独立ということでした。

さんざん遠回りしたからこそ
気付くことが多い

最初から「社長になりたい!」とか「絶対独立してやる!」なんて思っていた訳ではありません。本当に自然な流れでそこに行き着いたのです。
会社の規模は小さくても、社員が大勢いなくてもいいじゃないか!小さいからこそ親身になった対応ができる。すごい儲かる会社にしなくてもいいじゃないか!事務所は特別大きくなくてもいい。マシンも最先端の設備が揃ってなくてもデザインはできる。それによりサービスが著しく低下するということはない。何も周囲に見得をはる必要はない。どちらかというと、自分は、浅い付き合いのクライアント100社より、深く付き合えるクライアント10社で充分と思うタイプ。であれば、自分を必要としてくれるクライアントのために、もっと全力を出せる環境を持とう!そもそも自分がデザイナーになった理由ってそれじゃん!それは、原点に帰るということ。これが、グロウ立ち上げ前にまず最初に考えたこと。とにかく、デザイナーをやって24年、色々な失敗から気づきを得て、ようやくここにたどり着いたのです。必要な遠回りだったのかもしれません…。

便利になったことで、
失いつつあることもある

この20年の間に、アナログからデジタルへの移行と共に、広告・デザイン業界も大きな変革を遂げました。デザイナーは、ハンド(手作業)からマック(PC)を使うのがもはや当たり前となり、コピーをとって切り貼りしていた時代などはるか昔のように思えます。Macの出現で、以前はできなかったことがいとも簡単にできるようになりました。しかしながら、便利になったことで、失いつつあることもあります。
昔は、印刷会社の担当者が、汗を流しながら入稿の度に駆けつけてくれました。今は、指定されたサーバに入稿データを入れてあっけなく終了。確かにお互い時間のロスもなく、仕事は成立してるのですが、いまいち仕事をしてる実感が湧かない。なので、わたしが付き合う業者さんは、必要に応じ、時間を作って来てくれる。たまに呼んでもいないのに缶コーヒーを買って現れたり。今だからこそ、そんな付き合いが、けっこう大事なんじゃないかと思ったりしています。もちろん、クライアントに対しても同様です。やっぱり直接会うことで、信頼関係も生まれるのではないかと考えます。

ハラハラドキドキ、そして
わくわくした気持ちを共有する

今は、デザインの完成イメージが、モニタの中で確認できます。昔は、色校正が上がるまで、どんな色になるか完全には分からなかったので、クライアントと一緒に、出来上がりを想像しながら、ハラハラドキドキ、そしてわくわくしながら色校正が上がるのを待ったものです。そして、イメージ通り、色校正が上がった日には、デザイナーとしてちょっと誇らしげにしてる自分がいました。その時の気持ちをいつまでも忘れちゃダメだなと思います。
今現在、そういった気持ちを共有でき、共に達成感を分かち合えるクライアントさんとお付き合いできていることに感謝しなければなりません。
そして、これからも、そんなわたしの考えに、少しでも共感、賛同してくれる方々と一緒に仕事ができたら、楽しいでしょうし、仕事の達成感も格別なものなんだと思います。今言えること、それは、グロウという新たなステージで自分がやるべきことがまだまだあるということです。ようやく、本当の意味でのスタート台に立ちました。
平成24年7月
株式会社グロウ 代表取締役 安永成隆

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